【徹底比較】カバー(5253)とANYCOLOR(5032)──直近2年の株価ドライバーを追う
2025年10月3日
同じ「VTuber関連銘柄」として並び称されるカバー(5253/TYO)とANYCOLOR(5032/TYO)。
両社とも国内外で大きな人気を誇りながらも、株価の変動要因や投資家が注目するポイントは大きく異なります。ここでは直近2年間の動きとイベントを振り返り、その差異を整理します。
カバー(5253):ホロライブTCGと決算の「期待ギャップ」
カバーの株価を動かしてきたのは、何よりも決算短信とホロライブ公式カードゲーム(OCG)です。
-2024年9月:OCG国内ローンチ
新規カードゲーム事業の立ち上げは物販収益の拡大余地を示し、投資家の関心を強く引きました。
-2024年11月:25/3期2Q決算
売上+39.3%、営業利益+46.3%という高成長を発表。短信でOCGの寄与を明確化したことで「成長の数字的裏付け」となり株価は反発。
-2025年2月:25/3期3Q決算
通期予想の上方修正が“小幅”にとどまり、「期待未達」と解釈され急 落。好業績であっても市場期待を下回れば売られるという典型的な事例。
-2025年2月21日:OCG英語版リリース発表
海外展開の布石として注目。数字に直結するのは次の決算以降だが、中期的な期待感を醸成。
-2025年8月:26/3期1Q決算
売上+50.1%と高成長を維持し、OCGの海外展開が収益ドライバーになるシナリオが再び意識され株価は持ち直し。
ポイント:カバーは「話題」よりも「数字化」された瞬間に市場が強く反応。投資家は次の決算で数値に落ちるかどうかを最重視しています。
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ANYCOLOR(5032):高利益率と株主還元で市場を納得させる
対照的にANYCOLORは、利益率の高さと資本政策が株価の評価軸になっています。
-2024年7月:自己株式消却
成長企業でありながら積極的に株主還元を行う姿勢を示し、中長期の需給改善要因に。
-2025年6月:25/4期通期決算
純利益115億円を計上。自己株式の取得・消却が明記され、利益成長と株主還元を両立する姿勢が好感。
-2025年9月:26/4期1Q決算
売上157.7億(+112%)、営業利益70.0億(+158%)、営業利益率44.4%と驚異的な数値を発表。コマース事業の成長性が鮮明となり、上方修正期待も台頭。
ポイント:ANYCOLORは「高い収益性をどこまで維持できるか」が焦点。営業利益率40%台を持続できるかどうかで、中長期のバリュエーションも変わります。
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イベント別の効き方の違い
-決算の影響
- カバー:ガイダンス幅やOCG寄与明示の有無で大きく上下。
- ANYCOLOR:高利益率とコマース成長の継続性がサプライズ源泉。
-製品・事業ニュース
- カバー:OCG国内・英語版いずれも、決算で数字化されるまでは株価インパクト限定。
- ANYCOLOR:単発のニュースより決算数字に集約される傾向。
-資本政策
- カバー:この2年は大きな自己株式施策なし。
- ANYCOLOR:自己株式取得・消却を明確に実施、株主還元姿勢を強調。
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投資家目線でのインプリケーション
-短期トレード
両社とも決算発表直後は「市場期待とのギャップ」が最大のリスク・チャンス。
-中期投資
- カバー=OCG英語版の海外売上が実際にどの程度数字化されるかが最大の焦点。
- ANYCOLOR=営業利益率40%台の再現性を維持できるかが評価の分水嶺。
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まとめ
同じ「VTuber関連銘柄」でも、株価ドライバーは大きく異なります。
-カバーは「製品×決算」ドリブン。数字に落ちた瞬間に評価が動く。
-ANYCOLORは「利益率×資本政策」ドリブン。安定的な収益力と株主還元で市場を納得させる。
次の決算短信が両社の株価を大きく動かす最大のイベントであることに疑いはありません。投資家にとっては“数字で示される実力”を冷静に見極めることが肝要です。
- カバー 決算短信(2025/3期2Q、3Q、通期、2026/3期1Q)
- ANYCOLOR 決算短信(2025/4期通期、2026/4期1Q)、自己株式消却IR
- OCG公式サイト・リリース情報


